そもそも<起業>とは何か?
いま『職業とは何か』(講談社現代新書・梅澤正・750円)という新書を読んでいます。
新聞広告でタイトルに惹かれたからです。
私もちょうど『起業とは何か』というタイトルで書いているところだったからです。
<起業の成功要因・失敗要因>や<起業心理学>ということにも、
「起業とは何か?」という視点は不可欠です。
この本の著者は、冒頭で「〈職業〉と〈仕事〉は同じではない」と指摘しています。
たしかに「あなたの職業は?」と訊ねられるのと、「あなたの仕事は?」と訊ねられるのとでは、
答える内容も違ってくるかもしれません。
それは<起業>の分野でも同じです。
<起業>という言葉と、<創業>という言葉は、似ているようです。
ところが<起業家>という言葉は有っても、<創業家>という言葉は有りません。
創業家を<そうぎょうけ>と読ませると、創業経営者の一族という意味になりますが、<そうぎょうか>と読ませる事例は有りません。
反対に、<創業者>という言葉は有っても、<起業者>という言葉は有りません。
<創業経営者>という言葉は有っても、<起業経営者>という言葉は有りません。
<企業経営者>という言葉は有っても、<起業経営者>という言葉は無いのです。
私が24年前に、いまの仕事を始めたときに付けた社名は<創業開発研究所>でした。
この名称はいまも変わりません。(変えるつもりもありません)
その当時から<起業>という言葉は有りましたが、起業開発研究所という名称にしようとは思いませんでした。
なぜなら、<起業開発>よりも<創業開発>という言葉のほうが、私自身が「これからやっていきたいコト」に近いと感じたからです。
<起業>という言葉は、厳密に言うと「法人を設立登記して社員を雇って事業を始め、大きくしていくコト」に限定されると、当時は認識していたからでもあります。
しかし、<創業>という言葉には、「個人が一人で生業を始め、やがて家業になり、さらには事業として発展させていく」ということも含まれていると感じていたからです。(それは今も感じています)
<起業>と<創業>の類似点や相違点を考えることは、「起業とは何か?」ということを深く探求していくためには重要な要素だと考えています。
<起業>と<創業>は同じ意味なのか? その違いはどこに有るのか?
<起業する>も<創業する>も、同じような意味として使われています。
しかし、<起業家>(きぎょうか)という言葉はあっても<創業家>(そうぎょうか)という言葉はありません。
<創業家>は「そうぎょうけ」と読むと、創業社長の血を引き継ぎ、株式も相続して保有し、いまなお創業社長が創業した会社に影響力を発揮しているファミリーのことを意味します。
<創業者>や<創業社長>という言葉は有っても<起業者>とか<起業社長>という言葉はありません。
試しに「起業とは」でGoogle検索すると、<はてなダイヤリー>がTOPに表示され、下記の記述が載っています。
起業 きぎょう
新しく事業をはじめること。
類義語の「創業」と比較して、新しい分野でリスクを取り事業をはじめるという意味合いが強い。
これは、英語のentrepreneur(アントレプレナー)の訳語となる「起業家」との関連のためと考えられる。
しかし、「創業とは」でGoogle検索すると、<はてなダイヤリー>は表示されません。
しかし、<はてなダイヤリー>で「創業とは」を検索すると下記の記述が表示されました。
創業者 そうぎょうしゃ
企業や店を創業した人。
英語ではファウンダーと呼ばれる。
私が1985年に脱サラして起業したときに設立した会社名は<創業開発研究所>です。当時は<起業>よりも<創業>という言葉のほうが使用頻度は高かったように記憶しています。
しかし、創業心理学よりも起業心理学のほうが心理学のネーミングとしては適しているのではないかと感じて、当ブログの名称も<創業心理学研究所>ではなく、<起業心理学研究所>にしたのです。
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